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悪の華
エスプレッソ邸のパーティ。
原色のシークエンスの中でフェルディナンはサミュエル・フラーに話しかける。
赤。黄色。青。
「お一人ですか?」
「彼は何て言った?」
アメリカの映画監督の言葉に女は答える。
「1人かって」
「アメリカ人よ。フランス語はダメ」
「彼の名前は?」
「あなたどなた?」
「サミュエル・フラーだ」
言葉は韻を踏み、そして小さな炸裂を生む。
「パリで”悪の華”という映画を撮影してる」
追う女の言葉。
「サミュエルフラー。映画監督ですって」
「”悪の華”を撮影中」
「ボードレールかいいね。」
映画監督が組織の金を使い映画を撮ると言った。その映画は失敗し映画監督は逃亡した。
組織は足がつかないよう日本からの殺し屋を追っ手にさしむけた。
そしてその果てに愛と死の物語が始まる。
音楽をーー誘惑として。
2015年2月1日に終わりを告げたストーリーをここに。
青い闇に目も眩む、ぬくもりの中で。
そしてこれは受刑されたエディション--Condamnees Édition--でリリースされる。
「愛」
「暴力」
「死」
「そして感動」
運命の悪霊。抗うように爆竹を爆ぜさせる者達。
悲痛なリリシズムの果て永遠の向こうに堕ちていく。
鳴り響くモーッアルトのレクエイムの中に。
永遠の向こう側で何が待つのか。
それは新しさかそれともーー。

(C)小林千春
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