謦喩の女と芸術

 

　そこ　にいる女達ーー。言葉や、詩や、画壇のデッサンや、塗られた顔料にふっと重なる様ににいる女達。

銅版画の画板の中、サフォーの快楽、夜の溝泥に立ち唇からルビーを吐く女達。そして、地獄に落ちたと詩に留められた女達ーー

彼女等は彷徨いの象徴、地獄への道行きほ、彼女自身が堕ちる見るもの誘っていく。

だが、彼女等は見るもののの望みのまま姿を変え、彷徨いを露にするが、その本質の、奥底に、重なるよう、微笑みを浮かべて行く。

右と左、二つのまつろわぬ、ただ堕ち行く場所へと蕩けるものへ婉然と　そこに　いる時から変わらない笑みを浮かべている。

 

汐野達司が過去の仕事で書いたテキストクリエイションを編纂してリリース。

書き下ろしのテキストも。

​

Solitaire

　亡骸への詩をーー

私はじっとあなんたの芸術の行為に耐えて来た。架空の都で加えられる雪の痛み、螺子を巻く苦しみ。私はあなたの為に耐えたわ・・今まで。いつか報われる事を夢見て。だけどあなたは去って行った。私は　それ　しか行う事を知らず、ずっと繰り返す。たった独りの独り遊びを。

​

現代芸術と少女の夢が行き交う。芸術の犠牲者ーーヴィクティムに倣う哀しき物語。